分譲マンションや土地、戸建てといった不動産売却を行うと売却益が出た場合、譲渡所得として税金が発生します。
動く金額も大きいことから、そこにかかる税金もそれなりの金額になることが珍しくありません。
そこで今回は不動産売却をする際の税金対策はどのようなものなのかを紹介し、節税のポイントもお伝えします。
適正な税金対策を行うことで、本来払う必要のないお金を支払うことも回避できる場合があります。
注意点も解説しますので、最後までご覧ください。
不動産売却の税金対策は譲渡所得をどうするかで決まる
不動産売却をする際に税金対策となるのは、譲渡所得です。
ここでは、譲渡所得とはどのようなものなのかについて解説しましょう。
譲渡所得とは不動産売却で得た利益
譲渡所得とは不動産売却で得た利益のことを言います。
ただ、知っておきたいことは1,000万円を不動産売却で得たとしても、それは全額が譲渡所得とはならないということです。
譲渡所得とは、あらゆる不動産を売却した際に得た利益であり、この利益は次のような計算式で求められます。
譲渡所得 = 不動産売却価格 - 不動産を買った金額 - 不動産売却にかかった経費 - 特別控除
このように不動産売却価格から、いくつもの金額や控除を差し引いて残った金額が利益として計算されます。
つまり、不動産売却価格から次の3つを差し引いた残額が少なくなればなるほど税金も安くなるのです。
・不動産を買った金額
・不動産売却にかかった経費
・特別控除額
また、不動産売却価格のなかには固定資産税の清算金を盛り込む必要があります。
これは、固定資産税がその年の1年分の税金であり、前払いで納税を行う仕組みになっています。
そのため、6月に売却が成立した場合、残り半年分を余計に払った状態で売却したことになるので、そうならないように売却金額のなかに盛り込んでおくことが必要です。
これらの情報を理解したうえで、不動産売却価格から差し引ける3つのお金について次の項目で解説しましょう。
3つのお金を理解して不動産売却の税金対策にする
3つのお金が高額になればなるほど譲渡所得が安くなり、税金の支払い額も下がります。
ここでは、先ほど紹介した「不動産を買った金額」「不動産売却にかかった経費」そして「特別控除」について解説しましょう。
不動産を買った金額:取得費
不動産売却をする際にどのくらいの金額が取得費用として発生したか計算する必要があります。
ただ、先祖代々の土地であるとか、昔購入した時の金額がわからないといったことも少なくありません。
このような場合は概算取得費という計算を使って、不動産売却価格の5%を取得費として計上できます。
多くの場合わかっているほうが高額な費用を差し引けますが、わからない場合であってもこの方法を使って不動産売却価格から差し引くようにしましょう。
不動産売却にかかった経費:譲渡費用としての事務手数料や仲介料
商売をしている場合、商売にかかった費用(仕入れ代金)などを経費にして売り上げから引くことが可能です。
それと同じく不動産売却においても次のような費用を経費として差し引けます。
・不動産会社への仲介手数料
・売買契約書で発生する印紙税
・解体にかかった費用
・立ち退き料(発生した場合)
・売買契約を有利な条件に変更する目的で使用した費用
・借地権を売却するときに地主に対して支払う名義書換費用
これらの経費は領収書をとっておき、後で差し引くようにしましょう。
ただ、見解によってはこれら以外のものも経費になりうる可能性があるため、もし気になる場合は税理士など税金のプロに相談することをおすすめします。
特別控除:多彩な制度を利用する
特別控除と呼ばれる控除も売却金額から差し引けます。
これは自宅を売却する場合に利用できる控除が特に有名であり、それぞれどのようなものか解説しましょう。
住居用の不動産を売却した場合の控除
住宅用の不動産を売却した場合、実は不動産売却益が3,000万円以下であれば税金が発生しない仕組みになっています。
ただし、次の4つの条件をクリアしないと適用されません。
1・マイホームの買換え特例を利用していない
2・不動産売却した前年及び前前年に特例控除を利用していない
3・売却相手が身内ではないこと、また自分のオーナー会社でないこと
4・自分が過去に住んでいた家であること
これらの条件をクリアしなければなりません。
たとえば、ほかの特例の併用をしていないことや売却先が自分と深い関係にあるところでないことといった条件がつくと理解しましょう。
相続した空き家を売却する
相続したのが空き家だった場合も3,000万円の控除を受けられます。
こちらは5つの条件があり、空き家でない場合よりも厳しいのが特徴です。
1・建てたのが昭和56年5月31日以前で、耐震性を備えていること
2・相続してから空き家のままで、3年以内に売却すること
3・マンションは適用外
4・被相続人(元の持ち主)が一人暮らし
5・不動産売却金額が1億円以内
売却するタイミングと耐震性さえクリアしていれば条件を克服できます。
このほかにも特別控除がある場合も少なくない
不動産売却の特別控除はこれら以外にも多くのものが存在しています。
特に住宅でない場合の特別控除なども存在しているので、どのようなものか調べたり、気になる場合は税理士など税金の専門家へ相談するようにしましょう。
不動産売却の税金対策における注意点
不動産売却をする場合、少しでも税金を納めるのを減らしたいという方は多くいます。
しかし、次に紹介する注意点を理解して脱税行為など違法行為にならないようにしましょう。
裏技とよばれる情報に注意する
不動産売却の税金対策は先ほども紹介したように特例利用や制度をいかに多く適用させることにあります。
言い換えれば、それ以外の節税対策はないといっていいでしょう。
一方、不動産売却の裏技で節税もできるという話が出てきたら、注意が必要です。
そういった方法は、適正な税金対策でない場合が多く、なかには発覚したら脱税行為として処罰されるケースも多くあります。
もし、裏技で節税ができる、税金を払わなくていいという話を聞いても、安易に信用して実践しないことをおすすめします。
まとめ
今回は不動産売却に伴う税金対策を紹介しました。
譲渡所得や譲渡所得税について理解をすることで、税金の対策にもなりますし、適切な税金を納められます。
譲渡経費や取得費を細かく集計して利用できる特例を適用させてきちんと税金を納めましょう。